天才だもの 春日武彦
- 作者: 春日武彦
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2010/09/24
- メディア: 単行本
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仕事柄わたしは、まったく何もやらない人物に出会うことがある。精神病の範疇にはあるのだけれども、苦しくて何も出来ないわけではない。幻覚や妄想に引っ張られて何もしないわけでもない。退屈もしていないし、悩みもない。混乱もしていない。大概は統合失調症が上手く改善しないまま、幻覚妄想は消えたが精神もフラットになってしまった人である。一日中じっと部屋の真ん中に座っていて、テレビすら見ない。食事は、出されれば食べるが出されなければそのまま。促されれば色々なことが出来るのに、自分からは何もしない。「しない」という能動的な意思があるわけではなく、「したくない」といった否定的な気持ちがあるわけでもない。
こういった人を前にすると、不安感が生じてくる。 146頁
かねがね人間にとって究極の精神的拷問とは、チリひとつ落ちていない何も無い部屋の中ただひとり置かれる、ということなのではと思っていた。機械的に食事を出されるのみ。他者とも一切接触できない。これは気が狂うだろう、と。
しかしそれをクリアしてしまえる状態にある人間もいる、ということだ。まさに壊れた人間。想像するだに恐ろしい。目の前にこういった人がいたら、直視できないだろう。
茗荷谷の猫
- 作者: 木内昇
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/09/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いずれも能動的な効能ばかりだった。増やして、盛り上げて、力をつける。登れ、登り切れ、行けるところまで上に行くのだとせっつかれているようで、春造は及び腰になった。ケツを叩くばかりでなはなく、例えば平穏に、心穏やかな方向に人を導く効能はないのか。それでよろしいよ、あなたはそのままでよろしいよ、と言ってくれる効能を誰も見出さぬのはなぜか。それが人にとって不必要だとでも?30頁
「それでよろしいよ、あなたはそのままでよろしいよ」
なかなか言わないし、言われたことのない言葉だな。 言われたらとても嬉しく、安心するだろうな。
この時期から冬の間に咲く花が、どういうわけか昔からもっとも好きなのだ。その慎ましやかな佇まいや、寒中に凛と堪えている様子に心惹かれるのかもしれない。春の花は自らの役目を意識しすぎてわざとらしく見えたし、ただでさえ暑くてやりきれない時期に無駄に景色を騒がせる夏の花は、彼の忌むところだった。逆に言えば、そうした誇らしげで燦然としたものを、長く苦手としてきたのかもしれない。175頁
春の花には嫉妬するし、夏の花は暑苦しくて苦手だ。
私たちには物語がある 角田光代
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/04/28
- メディア: 単行本
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ベッドのなかで読んでいたのだが、唐突に私は至高感に襲われた。こんなにおもしろいものが世界にはある。本が、物語がある世界とは、なんとすばらしいのだろう。220頁
角田さんは「ホテル・ニューハンプシャー」を読んでこのような状態になったのだけど、わたしも読書中たまーにそういうのが来る。やって来る。けれどもそうそうめぐり合えるものでもない。
美味いの向こう側
クリスマスには、好きなケーキを2つ食べてよい、という決まりになっている。ホールのケーキは魅力的だが、相方とわたしの好みが全く違うし、割高ですし。
大好きなチョコレートケーキを久しぶりに堪能した彼。
「うううう、うまいーーーーーーー!」と目を白黒させていた。 完全にトランス状態。向こう側へ行っていた。 そんなに好きか、チョコケーキ。
お菓子はブルボンのアルフォート。これをいつか腹いっぱい食べたいそうだ。
刑務所に御厄介になったら、映画観るとき食べられるみたいですよ。
みなさま、良いお年を。
- 作者: 花輪和一
- 出版社/メーカー: 青林工芸舎
- 発売日: 2000/07
- メディア: コミック
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これは風邪なのか?
先週土曜あたりにノドがイガイガしはじめ、37度6分まで発熱、翌日には早くも微熱程度まで下がり、ホッとした。
…のもつかの間、咳だけ治らない! ものすごくしつこい。 きのう本屋さんで咳が止まらなくなり、涙をたらたら流しつつ、吐きそうになって往生した。
ノドは痛くなく、微熱はあるが、だるさはない。 ただ咳で体力を使うせいか、肩がこるし、胸のあたりが疲れている。
一番つらいのは、夜だ。空咳が発作的にでて、うとうとしたと思ったら、咳で目覚めてしまう。ずっとぐっすり眠れていない。
ヴィックスドロップもコルゲンコーワトローチも、そしてわたしの中では最終手段の「アネトン」も効かないのだ!
これはどうしたことだ。
今年の風邪はしつこい咳か? このあたりではあまり流行っていないけど。どこでもらったのだろう? 富士山を見に静岡までドライブしたけれど、その時か? 相方に伝染らなければいいけど。
サクマドロップ 富士山限定品
今年、2度富士山を見に行ったが、雲に隠れて見えず。 3度目の正直で今回、雪帽子をちょこんとかぶった富士山をしっかり見ることができて大満足。 なぜわたしはこんなに富士山が好きなのだろう?
サクマ式ドロップス - Wikipedia
「ブドウ、チョコ」ではなく「メロン、スモモ」入りなので「サクマ式ドロップス」ではなく「サクマドロップス」のほう、らしい。
「火垂るの墓でね、妹が石を舐めてドロップだ、ドロップだと言ってた」と相方が言っていたけど、火垂るの墓、ちゃんと見たことがないのよね。TVでやってるとき、ちらちら見るだけで。そんなに悲しい映画なら、なおさらちゃんと見るのが辛いなぁ。