西川美和に惚れた

めちゃくちゃおもしろい。上手い。
向田邦子デビュー時、たしか山本夏彦が「いきなり現れてほとんど天才」と評したらしいが、この短篇集を読んで西川さんもそれに近いのではないか、と思った。
あのキュートな容姿からかけ離れた文章だ。 綺麗な女性というより、どちらかといえば「中島らも」や「野坂昭如」のようなひょうひょうとした男性のそれを思わせる。 かといって男臭さはなく、女性ならではの観察眼、表現力で豊かに読ませる。
昨今の、文章をこねくり回して遊び、それを開示して「どう?こんなわたし」という空気ぷんぷんの作家とは全く別物。根底にあるものが違う。この人はどんな本を読んできたのだろう。興味がある。
仔細に人間観察できる人。そしてその詳細を鮮やかに文章によみがえらせることの出来る人だ。すなわち西川さんは作家の資質を充分持ち合わせている。
映画もどんどん撮ってほしいが、文章ももっともっと読みたい。今すぐ「西川美和全集」を読みたいくらい、気に入ってしまった。

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