レボリューショナリー・ロード★★★★★

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13632/gallery/p013.html



作品紹介の「50年代のアメリカが進んだ道を暗示」とかサブタイトルの「燃え尽きるまで」とかそんなドラマティックな映画・・だったらつまんないな、と思いつつ観たら・・嬉しい予想外だった。 ストーリーは地味なんだが、丁寧な脚本と絶妙なキャスティングその他もろもろわたしにとって凄く見ごたえのある映画だった。ああ観て良かった!



印象に残ったのは脇役の2人。 ヘレン(キャシー・ベイツ)の息子の精神病患者&耳の遠いダンナ。


http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13632/gallery/p018.html
このギョロ目のダニエル・カールもといマイケル・シャノン演ずる精神病患者。 電気ショック療法を37回受け、数学の知識を奪われたという。 ちなみにわたしは3回受けたが、おそまつな数学の知識は奪われなかったかわりに過去の記憶の一部が飛んだ。あはは。


彼は「心に思ったことをそのまま口に出す」というヒトで、そんなことをすれば大人社会ではとんでもないことになるわけで、人々はうまくウソをつきながらかろうじてコミュニケーションしているということを再確認させる狂言回しの機能をこのヒトははたしている。


そして耳の遠いダンナ。キャシー・ベイツの陰にひっそり隠れて初めて登場したときから、これは何かあるな、と思った。 このおっちゃんが最後の最後におもしろいことをする。心の中で爆笑。拍手喝采。  うまくウソをつく、ということと同様、見なかったこと、聞かなかったこと、感じなかったことを積み重ねる毎日、それが結婚、何ごともない毎日を繰り返す凡人の生活なんだよなぁ。 

日本では特に「空気を読む」といういや〜な言葉が流行っているように夫婦でなくともこういうことが顕著なんだが、わたしはそれが凄く苦手で、さらに「自覚せずに」見なかったこと、感じなかったことにしてしまうヒトが日本人は多いように感じる。それがものすごく疲れる。


「何ごともない毎日」が退屈だと思うことすなわち「平和」であるということで、もしある日突然、不幸な出来事、たとえば家族の誰かが重い病にかかってしまったら「退屈」どころではなくなってしまう。 「何ごともなかったあの日々」がどれほどありがたかったか身に染みる。

たぶんこの映画はそういうことを意味するものではないと思うけど、いつもどんなストーリーでもわたしの場合行きつくところはそこで、それはたぶんエイプリルのように特別美しくもなく、パワーに溢れていないからだろう。 余力がないのかも。

まじめに働いてくれるダンナさん、大きな家、かわいい子供、充分じゃないか!と思ってしまう。